新疆の民族衝突と民族分断工作

報道によれば、「新疆ウイグル自治区当局はウイグル族の優秀幹部1000人を選抜し、「政治宣伝チーム」を結成。ウイグル族の居住区に派遣して戸別訪問を行い、監視活動や情報収集に当たらせている。報奨金を出して密告も奨励し、ウイグル族が団結して抗議行動を起こすのを阻止する分断工作も巧妙に進んでいる」という記事がでていた。

分断工作が巧妙に進んでいるように見えるかもしれないが,少数民族たちの憎悪が一層高まっている。ウイグル族の優秀幹部とは、ウイグル人共産党員のことである。彼らは元もと体制側にいるから,一般のウイグル人たちは最初から信用してはいない。日本のジャーナリストは,現地当局が発表している<優秀幹部>という言葉を鵜呑みしているが,体制側のウイグル人共産党員が少数民族を代弁していないこと,何をもって<優秀>であるかを,報道の自由のある日本の記者はもっと掘り下げてもらいたい。

中国共産党が中国伝統の統治方法の「以夷制夷」である,異民族を使って異民族を支配する,という政策を採用している。しかし,この統治方法はいつの時代も成功したことはない。いまの中国の領土が,異民族であった満洲族清朝乾隆帝時代の領土を継承している。新疆も乾隆帝の時代に平定されている。清朝がある程度広大な領土の統治に成功したのは,皇帝が満洲族とういう異民族で,異民族が異民族を統治したからであった。

中華思想により,漢民族が異民族を蔑視しているから,漢民族が異民族を統治してうまくいったためしはない。漢民族ではなく,異民族(清朝)が画定した領域を統治しようとしても,必ずほころびがでるのは歴史に由来している。しかし,現代の中国の歴史認識は,このことを絶対に認めない。