Ерак Көнчыгыгыштагы татар-башкортлага ни булды


НадирДәүәт, Ерак Көнчыгыгыштагы татар-башкортлага ни булды, Kazan 2005, 99c.

(Nadir Devlet, Yırak Könçıgıştagı Tatar-Başkortlarga ni buldı, Kazan 2005, 99p) <タタール語,400部出版>
トルコの研究者で自らも奉天(現瀋陽)生まれのタタール人であるNadir Devlet教授が『極東でタタール・バシュコルト人たちに何があったか』という題名で極東のタタール人コミュニティーの歴史について,タタール語で出版している。99頁とコンパクトではあるが,満洲や日本に移住したタタール人を知る上で参考になる。掲載されている写真は個人蔵のもので未発表のものばかりである。タタール人経営の小田原の洋服店の写真など珍しいものも掲載されている。

Nadir Devlet教授は幼くして両親と引き離されている。彼の両親は満洲に進駐してきたソ連軍により反ソ活動の容疑で逮捕れた。彼は祖父に育てられた。1950年代に祖父達家族とトルコに移住している。ソ連に連行された母親とは,その後30年後に再会している。彼自身が生きたタタール人の歴史でもある。

この本はトルコ語版もなく,トルコでも知られていない。日本でも知られることもないと思い,参考まで紹介した。この本と同時に,彼の母親の回想録も出版されている。これも当時の極東のタタール人社会を知るのに興味ある情報を提供してくれている。