タタールスタン共和国のカザン


ロシア連邦の中にタタールスタン共和国がある。その首都カザンである。住民の多くはタタール人である。タタール人はロシア語とバイリンガルであるため、日本人がここを旅行するとロシア人との区別がつかないが、彼らはタタール人としてのアイデンティティーを維持しようとしている。タタール人はイスラム教徒であるが、世俗主義が進んでいる。

数年に一度、《全世界タタール人会議》を開催し、ロシア、トルコ、ウクライナなど世界に散っているタタール人が集まり、連帯感を維持しようとしている。かつては日本のタタール人も参加していたが、いまでは参加者がいなくなった。かつてロシア革命の避難民として、タタール人が日本を含む東アジアにいたが、トルコなどに移住してしまい、いまはほとんどいない。日本人は全く気づいていなかったが、カザンという都市と日本がタタール人を通じて結びついていた時代があった。

最近、タタールスタン共和国からの留学生や日本人と結婚したタタール人が数は少ないが、タタールスタン共和国と日本の交流を進めたいそうである。日本人はロシア連邦少数民族についてほとんど知らなく、ロシアの中にある多様性について知る機会が増えることを期待したい。