1935年 神戸オリエンタル・ホテル


写真は,1935(昭和10)年9月15日,神戸オリエンタル・ホテルでアブドルアジズ元全インド・ムスリム連盟会長を来日を歓迎するために開催された夕食会を撮影したもの。

アブドルアジズ元全インド・ムスリム連盟会長は,神戸モスク完成を祝賀するため来日した。

神戸は幕末開港以来,貿易港として栄えている。神戸には多くの外国人が居住してきた。当時,大英帝国インド帝国のインド商人がインド・東南アジア・東アジア間の貿易ネットワークを利用し活躍していた。彼らの貿易ネットワークが神戸と結びついた。インド貿易商人の中に多くのイスラム教徒もいた。

神戸在住のインド系イスラム教徒たちが礼拝所としてモスクを建設した。東京のモスクが日本の対イスラム政策(当時,「対回教徒対策」)と直結していたのとは対照的に,神戸モスクは神戸在住イスラム教徒や海外のイスラム教徒たちの喜捨によって建設された。

戦後,神戸モスクは神戸在住イスラム教徒によって維持されていくが,東京モスクは土地所有紛争などトラブルが続いている。神戸モスクが純粋にイスラム教徒たちの喜捨によって建設されたのに対して,東京モスクでは戦前の利害関係が戦後まで引き継がれてしまった。