神戸モスク


写真は出来て間もない頃の神戸モスク。

神戸は幕末開港以来,多くの外国人が居住し,貿易で繁栄してきた。貿易に従事した人々の中には,インド(当時は英領植民地下)からやってきたイスラム教徒たちもいた。篤信家のインド人たちが醵金してモスクを建設している。神戸モスクは,日本で一番歴史のあるモスクで1935 (昭和10)年に竣工している。

1938(昭和13)年に代々木上原に建設された東京モスクが在日イスラム教徒のみならず,政財界からの寄付金を募って建設された。そして,極めて政治的な色彩を帯びていたのとは対照的に,神戸モスクは在日イスラム教徒(主にインド系)に建設されたモスクであった。

このモスクはいまでも神戸在住のインド人,パキスタン人,インドネシア人などによって礼拝の場所として利用されている。その隣の建物では彼らの子弟たちにイスラムの教えが教えらている。神戸モスクはいまでもイスラム教徒のシンボルであり続けている。

昭和10年の時,モスクの前面に電線が見えるが,現在でも同じである。神戸市が観光客を呼び寄せるために景観を重視するなら,この電線は地下化したほうがいいと思われる。