東京回教学校

小田急代々木上原駅の近くにモスクがあるのはみなさんご存じだと思います。いまあるモスクはトルコ宗務庁の支援により建設された二代目の建物です。トルコにあるモスクの様式に似ています。それ以前の建物は,1938(昭和13)年に建てられました。ロシアのカザンなどにあるモスクの様式と似ていましたが,1980年代に老朽化により取り壊されました。いまのモスクの横に倉庫として使われている木造の建物が残されています。この建物は,1930年代には「回教学校」(Mektebi-Islamiyye)として使われ,戦後は「トルコ人学校」(Türk Okul)として使われました。
現在の東京では少なくなってしまいましたが,タタール人と言われるトルコ系の人々が住んでいました。タタール人たちはロシア革命の避難民でした。タタール人の子供たちのために,学校がモスクの隣りにありました。写真はタタール人が国語の教科書を読んでいます。この写真は日本とイスラム教徒の関係を示す宣伝用に撮影されました。
小学校の恩師(79歳)に見せたところ,この教科書を使って勉強したと懐かしがっていました。ですから,この写真に写っている児童や生徒が存命なら80歳前後でしょう。存命ならば,おそらくトルコ,米国,オーストラリアなどの海外に生活しているでしょう。