預言者誕生日とカザンのシャリフ・モスク

2月26日は預言者ムハンマドの誕生日であった。ロシア連邦タタールスタン共和国首都カザンの中心にあるゴル・シャリフ・モスクでは,預言者の誕生日を祝う式典が行われた。トルコのテレビ局がこの式典の様子を撮影し,イスタンブールスコピエマケドニア),キルクークイラク),メディナなどに放映した。

タタールスタン共和国は,ロシア連邦内で最大のスンニ派イスラム教徒がいる。多くのイスラム教徒は世俗的で穏健な人々である。カザンは,ロシア連邦内のイスラムの中心都市というような位置づけと見てもいいであろう。

トルコ人はカザンについて専門家以外にほとんど知らないが,このようにトルコのテレビ局が放映すると,同じイスラム教徒でトルコ系民族として,ロシア連邦内のタタール人に対する関心が起きるかもしれない。トルコTV局がムハンマド誕生日の式典をアラブのみならず,ロシア内のカザンを撮影したことから,トルコ人にとってイスラム教徒の連帯も重要ではあるが,トルコ民族の連帯や紐帯のほうが重要であるというようなメッセージを読むことはできないだろうか。

放映されたトルコ以外の地域がカイロ,スコピエ(トルコ名ウシュキュップ),キルクークメディナと旧オスマン帝国領内であるのは偶然であろうか。トルコ人が新オスマン(帝国)人の意識を持ち始めているのであろうか。