新疆ウルムチでの衝突の犠牲者を悼む

新疆ウイグル自治区ウルムチでの大規模な衝突により,約140名以上のウイグル人が死亡したようだ。ウルムチは漢族の都市となっていて,ウイグル人ウルムチの人口の1割程度と言われている。ウルムチでは,ウイグル人が目立つ地区は限られている。ウイグル人が暴動を起こし,警官隊と衝突したのには,その背後にウイグル人たちに蓄積してきた不満が沸点に達して爆発した。

新疆ウイグル自治区は,ウイグルの名前が冠してあるが,農村部を除く,都市部は漢族が多数を占める自治区となっている。ウイグル人には就職,就学など多くの差別を日頃から感じていることは間違いない。ウイグル人は漢語(中国語)習得を強制されつつあるが,漢語を習得しても,それほどチャンスが現実にはないことにも不満がある。漢族のウイグル人への蔑視を屈辱と感じてきている。特に,ウイグル人の若者たちの不満は大きい。不満が自然に爆発してのであって,外国の扇動などはない。北京政府の公式表明では,新疆で衝突や暴動が発生すると,外国からの扇動と常に言われている。インターネットをサイバー警察で常時監視しているのだから,外国の扇動などないことは当局自身がよく知っている。

中国では,近年至る所で農民暴動,衝突が起きているが,多数の死者がでることはない。少数民族の暴動や衝突に対する,当局の容赦ない鎮圧の背後には,少数民族と漢族との対応に明らかに違うスタンダードが存在している。だから,このようにウイグル人には多数の死者が出るのであろう。正確な情報は当局からは発表されないのが常であるから,ウイグル人の死者はもっとおおいかもしれない。

中央アジアからの石油ガス・パイプラインが新疆を通過するようになり,当局は新疆の守りを固めることは間違いない。ますます強圧的となるであろう。今後も,漢族の中華思想的な少数民族蔑視がなくならない限り,残念ながらこのような衝突が発生する可能性は大きい。