アラビアのロレンスとオスマン軍の将軍


ホセ・ファーラー(1909-1992年)が演じるオスマン軍の将軍がロレンスを拷問にかけ,ロレンスをもてあそぶ。このシーンにより,トルコ人の残虐なイメージが演出されている。非常にステレオタイプである。デビット・リーン監督の映画《アラビアのロレンス》では,オスマン帝国が悪の帝国であるイメージ創出に成功している。英国人が思うように,悪の帝国であったのであろうか。悪の帝国であったら,600年も続かないと思う。

ミッドナイト・エクスプレス》でも同じだが,欧米の監督が撮る映画では,いつでもトルコ人に対して偏見がある。

アラブ人や英国が善で,オスマン帝国が悪。このためにトルコでは長い間,映画「アラビアのロレンス」は上演禁止であった。

ロレンスが謀略活動に従事していた同じ時代,オスマン軍に従事していたムスタファ・ケマル(後のアタテュルク)はまだ無名の将校であった。当時,両名とも無名であったが,ロレンスは米国人ジャーナリストの演出で有名になる。

第1次世界大戦後の独立戦争で,ムスタファ・ケマルは欧州列強の植民地主義の野望に対して,死力を尽くして抵抗する。どうみにて,ムスタファ・ケマルのほうが英雄だと思えるのだが…。