Ali Merthan Dündar, Japonya’da Türk İzleri, Ankara, 2008.


Ali Merthan Dündar, Japonya’da Türk İzleri, Bir Kültür Mirası Olarak Mançurya ve Japonya Türk-Tatar Camiler, Ankara, 2008, 272p(『日本におけるトルコの足跡,文化遺産として満洲と日本のトルコ・タタール・モスク』) 
日本や旧満洲に存在するモスクの歴史について記した書籍がトルコで出版された。著者はアンカラ大学日本学科の准教授で,戦前の日本・トルコ関係史や対回教徒政策を研究している。日本語やタタール語の史料を読み解いて,ハルビン,神戸,名古屋,東京のモスクの歴史とその建設にかかわったタタール人コミュニティーについて明かしている。書籍の表紙は,今は取り壊されてない旧東京モスクをバックにタタール人婦人たちがポーズをとる写真である。この貴重な写真も著者がトルコに移住したタタール人から提供を受けている。
ロシア革命後,ロシアから満洲に多くの避難民が流入した。その避難民にイスラム教徒もいた。イスラム教徒たちの多くはタタール人であった。彼らは金曜礼拝の場所として,ハルビンにモスクを建設している。避難民の彼らには財産もなく,なけなしの金を醵金し,モスク建設では自ら汗を流して,モスクを完成させている。タタール人たちの移動は日本にも及ぶ,東京・名古屋・神戸・熊本などにコミュニティーをつくりながら生活していた。日本でも東京と名古屋にモスクを建設している。名古屋モスクは米軍の名古屋空襲で焼失し,その後再建されることはなかった。その名古屋モスクの短かった歴史も日本語史料に基づいて書かれている。
著者は日本や旧満洲からトルコに移住したタタール人家族を訪問し,残された写真や文書を収集している。日本や旧満洲で出版された雑誌をリプリントしたいとのことである。日本や旧満洲に滞在したタタール人たちの歴史を追い求めている。我々が見落としている,マージナルな人々の歴史に明らかにしている。戦前の日本人が現代以上にイスラム教徒と熱く接していた。