カザフスタンの地下鉄と韓国車両

中央アジアにおいて韓国の「現代(ヒュンダイ)」、「サムスン」などの大企業のみならず、中小企業の活躍は目覚しい。アシアナ航空は仁川(インチョン)国際空港とタシケント、アルマトゥに直行便を飛ばしている。ウズベキスタン航空やカザフスタンの航空会社も仁川空港にに乗り入れている。韓国人と中央アジアの人々の移動や交流は、日本よりも数においてはるかに大きい。韓国はユーラシア大陸の一部である。島国の日本とは地理的に大きく状況が異なっている。

日本企業は、中央アジアでの活動が目立っていない。ODA(政府開発援助)に依存して仕事をする企業がおおく、リスクを取ろうとしない。韓国系企業はリスクを取る点では日本企業よりも進んでいる。この点でも日本の企業は、ビジネス・チャンスを逃している。

いまカザフスタンの旧首都アルマトゥで地下鉄工事が行われている。完成に向けて工事が行われている。いま、6駅ができいて、7番目のバイコヌール駅も完成に向けて工事が進められている。この地下鉄1号線は、2011年12月に完成予定である。1991年12月に独立したカザフスタンの独立10年を祝うため、2011年12月が完成予定とされた。

この地下鉄はソ連時代1988年に工事が着手されたが、90年代の経済的な混迷期に中止されていた。ソ連崩壊によるカザフスタン独立後、カザフスタンが石油・天然ガス資源から国庫が潤うようになってから、工事が再開された。アルマトゥは天山山脈の麓にあるため、地下鉄工事が難航したようだ。

ところで、アルマトゥの地下鉄で使われる車両は韓国の「現代(ヒュンダイ)」製である。日本はここでも入札に応札できなかった。韓国企業のカザフスタンでの活躍ぶりに比べると、日本企業の存在は残念ながら目立たない。

日本企業の活力が問われているが、そういう証拠を提出することは、いまや非常に簡単である。しかし、処方箋を示すことのほうがよっぽど難しい。たぶん、一番の問題点は企業などトップの決断が遅いことであろう。それは自分の在任中は問題なく任期を全うしたいという、志のなさによるものであろう。