TATARISCH


Margarete I. Ersen-Rasch, TATARISCH, Lehrbuch für Anfänger und Fortgeschrittene, Harrassowitz Verlag, 2009.

日本でトルコ語以外のトルコ系言語(ウズベク語、ウイグル語、カザフ語など)を学習しようとすると、文法書、辞書などが揃っていなく難しい状況にある。カザフ語は日本語で、いい文法書も辞書もなく、会話帳だけである。中央アジアの人々と交流するのに現地の言語を学ぶことは大切だと思う。ソ連時代、中央アジアの人々はロシア語が共通語であったが、いまではロシア語が話せないウズベク人の若者が多くいる。英語で会話すればコミュニケーションに問題のない若者たちがおおくいる。それ以外の世代とはロシア語か現地語になる。ロシア語は重要だと思うが、現地の言語を知ることは相互理解を深めることで大切なことと思う。

ところで、ロシア連邦にも多くのトルコ系少数民族がいる。その中でタタール人が有力だと思う。ロシアのトルコ系民族となると、日本語で書かれた文法書も辞書もない。日本では知られてはいないが、タタール語による出版活動は盛んである。しかし、タタール語の書籍ははほとんど輸入されていないので知られることはない。

ドイツは歴史的にロシアへの関心が強く、とくに言語研究が盛んである。去年、ドイツ語で初級・中級用のタタール語文法がCDつきで出版された。ドイツ語が読める人は少ないと思うが、参考までにあげておく。Nicholas Poppe, Tatar Manualと比べると分かりやすい。ポッペはアルタイ諸語研究では碩学であり、タタール語の記述文法として優れているが、分かりやすい文法ではなかった。それに比べると、この文法書分かりやすい。