トルコの原子力発電と日本企業

以前、韓国が大統領の売り込みもあり、官民一体の原発売込みで攻勢をかけて、トルコの原発プロジェクトを受注に成功し、日本企業が駄目だったと書いた。日本企業の巻き返しもあるが、トルコ政府が地震の多いトルコでは日本の原子力発電が耐震設計に優れているということに気づいた。トルコは日本と同じように地震が各地で起きている。地震の少ない韓国では、韓国の原子力発電事業は、日本に比べると耐震設計の係数や経験で劣っていると言われる。トルコ政府は原子力開発に関して、韓国から日本に舵を切ったようだ。トルコでの原子力の売り込みは、東芝が有利になりつつある。

ここにきて、日本政府もインフラ輸出に力を入れ、民間企業の活動を支援している。日本も官民一体の雰囲気ができつつある。この流れをもっと積極的に続けてもらいたい。民主党は評判が悪いが、インフラ輸出を後押ししている点では自民党よりも評価できるであろう。民主党のインフラ輸出を推進している議員の多くは、トルコを含む中東との関係増進に関与している。

バクーの第225中学校と日本語

アゼルバイジャンの首都バクーにある、Telman Abbasov記念第225中学校では、中学生30名が日本語を学んでいる。先生はアゼルバイジャン人の女性。彼女のご主人が研究者で大阪府立大学で11年間研究生活をおくったとのことである。11年の日本滞在から日本語が非常に堪能であった。日本のよさをアゼルバイジャン人の子供たちに伝えたいことから、日本語を中学生に教えている。彼女の熱意により、アゼルバイジャンの中学生たちは日本への関心が高まっている。数は少なくとも、アゼルバイジャンの中学生たちが、知日派親日派に育っていくだろう。

このような中学生たちを応援することが大切だと思う。日本の文化外交は、このような草の根の親日家を大切にすべきであると思った。

アゼルバイジャンの入国査証と不法滞在者

アゼルバイジャン共和国外務省は、10月から空港での入国査証(ビザ)の発給を中止し、あらかじめビザを取得しなければならなくなった。日本人なら以前は空港で写真と料金を支払えば簡単に発行されていた。これができなくようになり、駐日アゼルバイジャン大使館領事部で査証を発給してもらうようになった。

アゼルバイジャン入国査証(ビザ)の取得を義務化したのは、アゼルバイジャンの石油景気と結びついている。中東やアジア(中国)からの入国者が急に増加して、低賃金で働く不法滞在者が首都バクーで急増したそうである。アゼルバイジャン人の職を奪うなどの理由で不法滞在者を排除することが目的であったようだ。アゼルバイジャン航空は、バクー・ウルムチ間のフライトがある。この便を利用する新疆からの中国人が急増し、バクー近郊のマーケットで中国人商人の姿が目立ちようになっていた。今回の措置により、中国人は北京のアゼルバイジャン大使館で査証を発給してもらわなければならなくなった。新疆からの中国人商人が減った。アゼルバイジャン人がウルムチに出かけて、中国製品を買い付けることは続いている。ウルムチアゼルバイジャン人を見かけることがある。

アゼルバイジャンは、石油景気に沸くバブル経済であるが、一般のアゼルバイジャン人には失業者が多く、彼らの職を奪われないようにした措置でもあったようだ。

急速に発展するバクー

アゼルバイジャン共和国の首都バクーは急速に変化しつつある。カスピ海の石油がBTC(バクー・トビリシ・ジェイハン)パイプラインを経由して輸出されている。ロシア経由ではない、石油パイプラインができたことはアゼルバイジャンにとって大きな意味がある。ロシアにエネルギー安全保障でのリスクを減らすことができた。

1991年のソ連崩壊でアゼルバイジャン共和国が独立を回復(1918年に23ヶ月間独立、赤軍によって崩壊)したが、約5年間は混乱が続いた。ハイダル・アリエフ、イルハム・アリエフの親子2代の政権は、典型的な開発独裁である。石油収入より、バクーは表面的に発展している。しかし、この20年間で一部の大金持ち(アリエフの出身地ナヒチェヴァン関係者)が誕生しているが、中間層は誕生しておらず、多くは低賃金や失業者の状態にある。開発独裁は、どこの国でも同じで、一部の大金持ちが生活を享受している。西側ブランドのブティック店が多く開店している。買っている人を見かけない。しかし、つぶれないところを見ると、大金持ちが買い物をしているのだろう。

バクーは石油景気によるバブルのようだが、社会主義時代もいまも構造的な汚職と不平等は続いているようだ。

在トルクメニスタン日本国大使館臨時代理大使

最近、トルクメニスタンに着任した外交官は、トルコ語が堪能な人である。トルクメニスタンは、永世中立を宣言している中央アジアの国で、日本ではほとんどなじみのない国である。トルクメニスタンには約1万人のトルコ人がトルコから仕事のため滞在している。外国人コミュニティーとしては最大である。日本人の滞在者は、ほんの僅かしかいない。

新任の日本人外交官がトルコ人のコミュニティーを利用すれば、日本外交に資するという外交活動ができると思える。トルクメニスタンでのご活躍を期待している。

キルギスのマナス空港での米軍給油問題

オトゥンバエヴァキルギス大統領は、米軍への給油の50%をキルギス国営会社が請け負うことを発表した。同大統領はマナス空港での米軍給油がMina Corpというジブラルタルに会社登録した会社が行い、この会社から前大統領に賄賂が流れていたと非難した。米軍関係の利権はダミー会社を通じて、政治工作使われることは多い。

米国のダミー会社からキルギス国営会社に燃料給油50%分が取引が移行するようだ。米軍がもたらす巨額の利権の一部が現政権に移譲されるのであろうか? それとも利権ではなく、キルギスの国家収入となって、キルギス国民に再分配されるのであろうか。